総員、我が名はケンラウヘル。すなわち反王である。
■モバイルロワイヤル
スマホでプレイできるストラテジーゲーム
モバイルロワイヤル
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ダウンロードはこちらから、特典アイテムあり。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
生放送もしたりしているのでこちらも是非。
ちょっとバタバタしていたので更新が遅れた。
今回は前回の続きを。
■あらすじ
戦闘力が凄まじいCATFと共に攻撃をかましてくるEVE勢力。
その報復として攻撃を開始したAKIG。
だがワールドチャット誤爆により敵に位置情報を漏らしまくり、必死の弁解をするも後の祭りとなったのだった。
■ワールドチャット誤爆
ワールドチャット誤爆。
リネレボでは禁止をしていたが、モバロワではあまり気にしないでプレイしていたものの、まさか相手を煽るかのような状態になってしまった。
悪意はないが、相手は日本語の通じない外国人。
そしてワールドチャットではここぞとばかりにHOAのメンバーが便乗してプチ祭りに。
穴があったら入りたいとはこの事だ。
しかしそんな事よりも、EVEのコロニーがほぼ燃やし尽くされた後だったため、不完全燃焼で沸々とその鬱憤が溜まっているAKIGの面々。
これを何とかしなくてはいけない。
例え相手に情報が漏れていても、唯一気をつけなければいけない敵のエース、Braveが来たら逃げればいいだけの話だ。
「気にしなくていい、行こう、皆」
ギルドチャットにて誤爆をいじられている最中ではあったが、ここは汚名返上をせねばならない。
突撃時刻を設定し、コロニーに加えてはぐれEVEがいる場所へとテレポートを開始する。
風を切るようなテレポートの音が連続で鳴り響く。
まずはEVEを燃やしてからだ。
戦闘力もそこまで高くないはぐれEVE、AKIGのエース級に加えて数で瞬殺する。
その姿はまるでライオンの死骸に群がるハイエナのよう。
卑怯だとか腰抜けだとか言われることもあると思うが、ここは戦場、いや、サバンナなのだ。
弱肉強食のこの世界、情けをかけてたらこちらがやられる。
一瞬にして資源を貪り尽くし、即座にコロニー周辺の城への攻撃を開始する。
やはりいつ見ても見事なキャンプファイアーだ。
相手は正直、ランキング何位にいるのかも分からないギルド。
だが攻撃の手を緩めたらこっちがいつかやられてしまうし、我々が攻撃していなくとも食われる運命にあったろう。
コロニーの住人数名からメールが飛んでくる。
英語で書かれた文章はゲーム内の自動翻訳機能で翻訳される。
「どうして攻撃したんだ」「ふざけるな」「攻撃しないで」などの声が多数だ。
だがこういうのを気にし過ぎると本当にこのゲームはただのたまごっちになってしまい、結果としてプレイしている仲間のテンションが下がって終焉を迎えてしまうのも理解している。
故に我は手を休めない。
「とりあえず焼き尽くしていい、ただBraveだけ注意を」
既にここの場所を攻めるという情報は漏れている。
そう、情報とは漏れるものなのだと自分に言い聞かせながら、とにかく音だけに注意する。
誰かがテレポートしてきた時の、あの風切り音だ。
Braveからすると我々など一人で蹴散らすことは可能だろう。
いくらうちのエース級、Kintaやナメクジが攻撃しようがビクともしないであろう。
生放送をしながらも、とにかく耳だけは集中していた。
3分ほどでコロニーも完全に燃やし尽くし、もう資源の回収もできないくらいになった、ちょうどその時であった。
Youtubeの棒読み音声の合間に、一瞬の風の音がする。
条件反射的にフィールドに画面を戻す。
真横にBraveの姿を目視する。
むしろBraveという認識をする前に、高レベル特有の金ピカの城が隣に飛んできた時点で、我はテレポートを押していた。
ここでも数名が逃げ遅れてBraveの餌食になったものの、相手を苛立たせることには成功しただろう。
これでEVEへのダメージがあったかと言われると、そうではないと思うのだが、それよりも仲間の報復によるストレス発散、明確な敵対行為による覚悟、攻撃していいという大義名分をギルドに与えられたことが重要なのだ。
■急展開
今日のメインイベントである「EVEへの報復」は終了した。
既にEVEのコロニーは燃えていたが、数名のEVE、そして資源も手に入れ、また明日遊ぶか、という感じで休憩していたところだった。
「なんか、さっきの所でなんか大変なことになってます」
その報告を受けてフィールドマップの座標を先ほどの場所に向ける。
するとそこには異常な光景が広がっていた。
HOAがなぜかそこに集結している。
しかも集結しているメンバーが
オロナイン&ハイビス。
この画面に収まっているだけでもどれくらい経済が回っているのだろうか。
それ以外にも錚々たるメンバーが集結し、Braveを囲んでいる。
こんな場面はなかなかに見れない、我は生放送にも関わらずSSを撮るのに夢中になっていた。
しかし、ここで嫌な流れが押し寄せる。
「反王様も混ざった方がいいのでは?」
予想できうる最悪の展開が我を待っていた。
いやいや、必要ない、行っても逆に迷惑になるだけだ。
我は必死になって伝える。
「反王様なら大丈夫」
「記念撮影するだけだから」
こんな書き込みで溢れかえる我のコメント欄。
挙げ句の果てにギルドチャットにすらイケイケという文字が流れだす。
ナメクジ「写真撮影は任せてください!いつでも準備OKです!」
ギルドチャットからも煽りコメントが広がっていく。
もうこうなるとこの流れは止まらない。
それはまるで
川の流れに身を委ねる流木のよう。
この自然の摂理には抗う事すら許されない。
だが我は理解してた。
この先には川の流れとかそういう洒落たものではなく、
思ったより早い段階での激流、そして最後には
巨大な滝壺が潜んでいるという事を。
■運命
こういう流れになったら行くしかない。
それが男というもの。
だがしかし、もしかしたら記念撮影だけで本当に終わるかもしれない。
いや、それに賭けるしかない。
冷静になって考えると我が一番困るのは、BraveとHOAのメンバーが戦っている最中の邪魔になる事だ。
もしドンパチ始まったのであれば即座に飛ぼう、そう決めていた。
課金アイテムであるクリスタルを消費し、決死の覚悟でテレポート座標をBraveの隣に合わせる。
謎の平行四辺形の完成。
その四角形を形成するのは
Brave:勢力200,000,000
オロナイン:勢力600,000,000
ハイビス:勢力700,000,000
ケンラウヘル:勢力10,000,000
明らかに一人だけここにいてはいけない輩が一名。
何というか、場違いというか、分かりにくいかもしれないが、何だろう。
この圧倒的消費税感。
むしろ消費税もまかなえていない。
「早くSSを撮ってくれ」
我は即座に飛ぶ準備を始めた。
しかし、そんな都合よく流れが止まる訳が無い。
我は結構空気を読むのが得意な方ではある。
コメントが流れるまでもなく、そしてギルドチャットが流れるまでもなく、
押せ(攻撃ボタンを)という声が聞こえてくる。
もうここまで来ると逃げるという選択肢は我の中にはなかった。
逆にここまで来ると心も穏やかになる。
川の流れに身をまかせることにした。
まぁ実際は川の流れというよりも突き落とされたと言った方が正しい。
相手はBrave、強敵だ。
我では勝ち目はまずない。
だが後ろにはオロナイン、そしてハイビス、さらにはHOAのメンバーが大勢いる。
正直に言うとあまり他チームにおんぶに抱っこというのは性に合わないが、ここは甘んじてその力を借りることにする。
虎の威を借る狐とでも言うのであれば言うが良い。
だがこちらは既にやる気満々。
気分は完全に
仲魔を召喚して戦うデビルサマナーだ。
■粛清
Brave対HOA with ケンラウヘル。
お互いが見合ってその状況がどう動くのかを見ている。
敵も味方も微動だにしない。
Braveはオロナイン・ハイビスよりも確かに戦闘力は低い。
しかし、このゲームは防衛側が優位な点が一つだけある。
1度に戦闘に加わることができる兵士の数だ。
攻撃は相手の城に兵士を派兵する必要がある。
その派兵数に限りがあるのだ。
研究などによってその数は増やすことはできるが、如何せん防衛側に人数制限はない。
故に、どれだけ最強の勢力を送ろうとも、防衛側の数の暴力の前に兵士の無駄死になる可能性が高い。
集結攻撃、という手もある。
一つの城に仲間の兵士を集め、個人で派兵できる数を超える兵士を一気にぶつけるシステムだ。
しかし、集結に時間がかかってしまい、その間に対策を取られる可能性が高い。
中々難しいところではある。
とか考えているが、最初から最後まで蚊帳の外にいるのは明白だけれども。
これはむしろ我が斬り込み隊長になるしかないのではなかろうか。
いや、そんな格好いいものではない。
要は「はい」を選択しないと物語が進まないドラクエ状態なのだ。
覚悟を決める。
相手兵士の兵種なども考え、どの戦術で行ったら少しでもダメージを与えられるのかを考える。
まずは我が動かねば自体は動かない。
装備はどうするか、兵士をもう少しでも補充しておこうか、戦闘のバフはこうしよう、自分の城の中で色々と作業し、さてどうするかと思い、フィールド画面を表示させた矢先の話であった。
周りの仲魔がいない。
状況を整理する。
間違いない。
我は悟った。
この状況に飽きたのだ、と。
しかし、梯子を降ろされたとは口が裂けても言えない。
むしろ梯子をかけてくれた事自体が奇跡なわけで。
だから梯子を降ろしたと表現は間違っている。
この表現を正しく言うのであれば
ただのダルマ落としに他ならない。
再び状況を整理する。
ここで選択肢は数個ある。
まずは戦いを挑むという選択肢、だがこれは当然今まで積み上げてきた兵士の無駄死にを意味する。
次にバリアを張るという選択肢、しかし、これについてはコメントで「バリアは悪手」と言われ、先手を打たれてしまう。
ここはYOUTUBEではない、YOUTUBEという名の
コロッセオだという事に気付かされる。
そして最後にもう一手、再び仲魔(HOA)を召喚するという手段。
一瞬頭を過ぎったが、明らかにマグネタイトが足りないので断念。
色々と走馬灯のように頭を駆け巡る思考。
しかし、最終的な結論は非常にシンプルかつ明快なものだった。
相手から攻め込んでくるという選択肢。
我はこの時、強く誓った。
2度と川の近くには寄らない、と。
■今日のヒーロー
一瞬にして燃え上がる我の城。
逃げ惑う市民、断末魔の中で息絶える兵士たち、そして
相手に囚われる我のヒーロー。
このゲームは敵の城を落とすと、敵のリーダーに設定しているヒーロー、信長の野望で言う所の武将とでも言おうか、相手のリーダーヒーローを捉える事ができる。
捉える事でバフがついたりするのだが、囚われた方はたまったものではない。
囚われている間、そのヒーローが使用できなくなるのだ。
これは手痛いどころの騒ぎではない。
本来であれば避難所という施設にリーダーを預けるのがセオリーなのだが、攻撃された事に動転して、なぜか避難所からリーダーを出すという最悪な選択をしてしまった我。
リーダーを奪い返すには敵の城を陥落させるか、数日待つ、もしくは解放されるのを待つという選択肢がある。
まあここまでやっておいて解放してくれる訳が無いのは明白だ。
しかし、もう一つだけリーダーを奪い返す方法が存在するのだ。
いや、奪い返すというよりも、元に戻す方法というべきか。
その方法は
服毒自殺。
なんという物騒な話だろうか。
避難してたら突然放り出されてそのまんま囚われ、さらには服毒させられるリーダーの身にもなると不憫でしかない。
だが逆に考えれば、囚われて辱めを受けるくらいならいっそ死んだ方がまし。
ならばいっそのこと潔く自決するまで。
我はヒーローを捕らえられるのは初めて、とにかく服毒自殺のためのアイテムを探す事数十秒。
その服毒自殺用のアイテムはまさかの課金コンテンツという事が発覚。
自ら命を絶つのも有料という世知辛さを噛み締めながらも、やはり辱めを受けるくらいならいっその事死んだ方がマシなのだ。
これが我の武士道、潔く、我は自決用アイテムを使うことを決意した。
これで一瞬でカタがつく、そう思ってアイテム欄を開いた。
するとそこには、目を疑う光景が飛び込んできた。
終焉の薬。
これは自殺用のアイテムで間違いない。
間違いないのだが、まさか毒を飲んでから
服毒してから24時間しないと死ねないという事実が発覚。
投獄されたヒーロー、彼は毒を飲んでから24時間苦しみもがき続けなければいけない。
酷い。
惨すぎる。
こんな悲しい話があるだろうか。
すまない、我のヒーロー。
24時間苦しむ事になるが、これで楽になるんだ、許してくれ。
我はそう心の中で呟きつつ、泣く泣く使用するボタンを押下した。
この断腸の思いで毒を飲んだ1分後。
システムメッセージ:KenrauheruのヒーローがBraveに処刑されました。
決死の覚悟で服毒した直後に容赦無く首を撥ねられる我のヒーロー。
やはり人間は滅ぼさねばならない。
そう決意した1日。
以上。