総員、我が名はケンラウヘル。すなわち反王である。
■モバイルロワイヤル
スマホでプレイできるストラテジーゲーム
モバイルロワイヤル
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
ダウンロードはこちらから、特典アイテムあり。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
生放送もしたりしているのでこちらも是非。
■王国15というサーバー
モバイルロワイヤル、その中の一つのサーバー王国15では熾烈な勢力争いが繰り広げられている。
圧倒的戦闘力を誇るChaina Taiwan Family(通称CATF)、そして巧みな外交で同盟を広げるForsaken World(通称FW15)とGalactic Guardians(通称GLA)、これらが結びついて作られている
『中華連合』
粛々と外交をこなしながら覇権を狙っているxRUSSIAx(通称RUS)率いる
『ロシア連合』
9つの拠点のうち8個を確保することに成功している、二大巨頭、オロナイン・ハイビス率いる
『HOALOHA連合』
まさに王国15は三国志さながらの熱き戦いが繰り広げられている。
■コロニー
我が軍AKIGは大規模な戦争というのを経験した事がない。
戦争ゲームなのでどうしても争いにはなるがそれは小競り合い程度。
またこのゲームはあまりにも弱肉強食なので、しっかりと倒せる相手を選び、それを倒して資源を奪ったりはする。
これは微課金・無課金揃いのAKIGにとっては必要な生存政策だ。
※ただしうちにも一部とんでもなく強い奴はいる。
我自身も微力ではあるが、なるべく効率よく育成を進めている。
このゲームは自分の好きな所にテレポートして移動する事ができる。
そして各ギルドには「空中要塞」と「飛空挺」というものが存在する。
空中要塞は効率よく兵士を作ったり武器を作ったりできる、いわば工房のような役割を担う。
飛空挺は兵士を乗せて移動させてから、まとまって攻撃ができる、いわば爆撃機のような存在だ。
※飛空挺についてはまだ使った事がないので間違っていたら申し訳ない。
これらも好きなところへ移動する事が可能だ。
空中要塞の移動はラピュタを彷彿とさせる、移動するだけで「おお!動いた!」という感動に見舞われるこの城。
この空中要塞の施設を使うには兵士を空中要塞に移動させなければならない。
空中要塞までの距離が長ければ長いほど移動に時間がかかる。
つまり、効率よく兵士を育てようとするならば空中要塞の近くに陣取るのが一番良いのだ。
必然的に空中要塞の周りに集まるチームは多い。
その集団を我はコロニーと呼んでいる。
このコロニーにはいくつかの利点がある。
コロニーに敵が襲撃してきても数の勝負で返り討ちにしやすかったり、援軍を派遣したり、資源を供給したりする「仲間との協力のしやすさ」の側面。
そして「抑止力」としての側面。
だが実際はAKIGクラスだとあまり機能しない。
というのも、中にはたった一人でチーム全体の勢力よりも強いような魔王クラスがいるからだ。
この世にはワンパンマンが数多く存在するわけで。
そういった者に対しては反撃の手段はほぼない。
唯一の防衛手段はバリアを張る事によって自身をガードするしかない。
コロニーでバリアを張り忘れると、朝になって兵士が皆殺しにあっていた(通称ゼロード)なんてこともザラだ。
寝る前は、特にコロニーに居座っている場合は、必ずバリアを張ることを忘れてはいけない。
■準備
AKIGは他チームから燃やされる事が多々ある。
まだ弱い者も沢山いるが、逆に言うと弱い段階でやられてもリカバリーは効きやすい。
1位のチームであるCATFも我が軍のコロニーを焼きにくる事がある。
だがあまりにも敵は強大。
報復手段は正直ないに等しい。
そしてそれに便乗してか、他のチームも攻撃してくる時がある。
EvEmpire(通称EVE)
中華連合の一つである。
チームのランキングもサーバー5位という強豪だ。
だが一つだけ言うと、このチームのランキングというのは特徴がある。
全体的には強い事に変わりないのだが、トッププレイヤーだけが異常なまでに勢力が高いのだ。
つまり、そのトッププレイヤー以外は他の上位チームと比較すると低い部類に入る。
このチームはCATFと共にAKIGのコロニーを燃やしにくる事が多い。
むしろCATFよりも多いくらいだろうか。
そんな事もあり、AKIGの中はEVEへのヘイトは高まっていた。
毎朝ログインするたびに「EVEの●●に燃やされた」「またEVEが来た」などの話を目にする。
一回一回説明やら話し合いなどをしていたら身動きも取りにくいので話してもいないのだが、燃やされた事自体については、やるやられるはお互い様、そしてゲームコンテンツとして特に気にしていない。
しかし、やたら攻撃をしてくる相手であるが故、我も少しだけ苛立ちを隠せなかった。
この戦いには三種類の戦いがあると思っている。
一つは要塞戦などの拠点を取るという明確な目的を持った戦い。
一つは資源を狙う戦い。
一つは敵勢力を削る戦い。
自分たちよりも弱い敵を倒して効率よく事を進めることと、被害をある程度覚悟してでも殺し合いたいという二つの葛藤。
前者はよくAKIGとして行なっていたが、後者はまだやっていなかった。
被害が出る=兵士が死ぬ=勢力が下がるといったサイクルは不毛だからだ。
ただし、前者ばかりでは盛り上がるものも盛り上がらない。
我は被害よりもこのゲームに一味スパイスを入れてみたくてたまらなかった。
我はAKIGにてこういう目標を掲げた。
打倒EVE。
大義名分はいくらでもなる。
EVEには多くの者が燃やされたのだから。
まずは打倒EVE、いや、打倒というよりも報復だ。
この報復によって互いのチームは「個人間」ではなく「チーム間」の対立となる。
EVEは中華連合の1つ。
戦うこと自体に問題はないが、今まで水面下で自由気ままに個人で動いていた対立をチーム単位にすることで、こちらが大きく不利になるかもしれない。
ただ、我もEVEに何回か燃やされたりしていたため、近々やってやろうと心で決めていた。
あとは報復日を決めるのみ。
結論としては、4月25日の深夜、生放送をしながらEVEのコロニーを燃やそうという話でまとまった。
■報復の狼煙
4月25日、Youtubeの用意をしながら仲間を待つ。
恥ずかしい話だが、我はまだ戦闘力が700万。
単騎では到底EVEの中層にも敵わない。
だがこれはやること、対立の狼煙を上げることこそが重要なのだ。
EVEとの対立の時間に集結する面々。
我が軍のエース、Kintaやナメクジなどもいる。
AKIGにはまだDiscordというものはない。
連携を取るにはYoutubeでの生放送が現段階では効率的であった。
一応補足だが、これは案件として受けているため、もしDiscordができたとしてもAKIGはYoutubeLiveを使った連携が多くなると思われる。
すでにブックまー済みのEVEのコロニーを確認する。
とはいえ、そこまでEVE自体の城はない。
というのも、コロニーは前述した通り、威圧や援護や空中要塞の施設利用には便利ではあるが、効率的な餌場として捕食される可能性も高い、故にこの王国15の広大なフィールドでランテレ(ランダムテレポート、場所を特定しないでランダムで飛ぶこと)で一匹オオカミをしているか、もしくは他コロニーや廃墟を効率よく狩る場所にスタンバイしている者の方が多い。
だがそれでも、数が少なく資源があまり搾取できずとも”EVEを燃やす”という執念に満ち溢れていた。
EVEのコロニーはEVE自体の数は少ないが、餌場として恐らくEVEのサブアカウントの城が所狭しと並んでいる。
定期的にこれらのサブ城をEVEが狩り、資源の糧としているのだろう。
こいつらもいただくとする。
だが1匹だけ、その雑多なコロニーに異彩を放っている城があった。
BraveY。
EVEのエースだ。
勢力は2億。
この王国15ではトップクラスの勢力を持つ彼が、コロニーに鎮座していた。
恐らく仲間がやられた際は彼がその場で報復するというシステムなのだろう。
そして彼がいる事自体が抑止力として働くわけだ。
だが、ここまで来て終わるのも不完全燃焼甚だしい。
考えても仕方ない、我が軍の作戦はたった一つ。
『Braveが動いたら即逃げ』
これだけを伝えた。
彼はまだ動いているような気配はない。
願わくば寝てていてほしいものだが。
このエースだけでも面倒なのに、EVEのコロニーに在住する城の戦闘力もある程度高い。
奇襲は確かに有利ではあるがこちらの被害は0ではないだろう。
だがこうやって新しい楽しみを見出す、挑戦するのはいつものことだ。
突撃タイミングの時刻をチャットにて伝える。
気が付けば生放送の方も2、30名近くが見ている状況。
恐らくHOAの皆が来てくれたのだろう。
コメントで「やっちまえ」「燃やせ燃やせ」とコールが湧き上がる。
HOAと比べるとAKIGの戦闘は見劣りするのは間違いないと思う、だが人目を気にしてプレイするほど緊張する必要もない。
そして雑談をしながら数分、時刻は23時55分。
ケンラウヘル「では総員、状況開始」
チャットでそう打ち込み、敵のコロニー目掛けてAKIGがテレポートを開始する。
さながら宇宙船がワープして接敵するかのような光景である。
やはりこれ系のストラテジーゲームの醍醐味といったところだ。
普通の戦いならば、まず相手の戦力を見るために偵察を行う。
偵察は相手の戦力や所持資源、どんな兵種で守っているかなどがわかる為、最適解をもって挑むことができる。
だが今回は電撃戦。
EVEからすると個人単位での面識はあるかもしれないが、チーム単位からすると「なんでこいつら攻撃してきたんだ」と混乱する状況であろう。
その虚を突いて相手の迎撃、そして敵エースが動き出す前に総攻撃を完了させねばならない。
偵察もほどほどに、AKIGによるEVE一斉攻撃が開始される。
一応解説すると戦いの流れというのは、
①敵の城に進軍させるヒーロー(指揮官)と兵種と兵士の数と陣形を決める
②フィールドアイコンで自軍の兵士が進軍する
③結果(勝利or敗北)の詳細がメールで来る
という風になっている。
ランキング5位相手ということで、被害はある程度覚悟していた。
我が出した兵士たちが敵の城へ一歩一歩近く。
そして城へ到着。剣同士がぶつかり合うSEと共にメールが来る。
相手の城が燃えたので勝利は確信していたが、そのメールには意外な結果が記されていた。
敵の兵士がいないのだ。
チャットにて確認する。
他の者たちも大抵が敵兵士0、つまり、こちらの被害一切ない状況。
だが資源はかなり豊富に持っていた。
チャットにてどこの城が資源を多く持っているのかの報告が飛び交う。
先ほどまでの決死の覚悟で挑んだ緊張感から一転、
乱獲を開始するAKIG。
豊作を祝うAKIGの面々。
ほんの2分くらいだろうか。
EVEのコロニーは見事なキャンプファイヤーと化していた。
皆がチャットをしながら豊作を喜ぶ。
ただ、よくよくコメントなどを確認すると、簡単に言うとこのEVEのコロニーは既にHOAが燃やし尽くしていたのだ。
正確に言うと毎日燃やしているとのことで、敵の兵士ももぬけの殻であったのだ。
被害はなかったものの、気合を入れていた分だけ残念でもあったが、改めてHOAの強さ、そして恐ろしさが身に染みた。
とはいえ豊作の状態には変わらない。
皆でチャットしながら、そして笑いながら倒していたのだが、ふとフィールド画面で光るエフェクトと風を切るような効果音、ワープである。
これを我は見逃さなかった。
ケンラウヘル「Brave来た!総員退避!退避!」
叫びながら自分でも驚愕の反射神経でランテレに成功。
我は被害を受けることはなかったが、コロニー燃やしに勤しんでいた数名がBraveの餌食となった。
だが被害は最小限で済んだと思えばいいだろう。
とりあえず今後はEVE燃やしはコロニーではなく、今後単騎で強いやつを見つけたら集団で襲いかかり、勢力を落とすことを考えねば。
そんなことを考えていたら、画面が赤く点滅し始める。
説明すると、このゲームは敵から攻撃や偵察を受けるとそれを知らせるためにゲーム画面が赤く点滅して知らせてくれるのだ。
ありえない。
ランテレは成功したはずだ。
EVEは既に振り切ったはず。
しかも短いスパンで画面がチカチカと赤くなる。
連続で攻撃を食らっているのだ。
もしかしたらEVEのメンバーが生放送を見ている・・・?
ありえない、そんなバカなとフィールドに行ってみると
4秒おきに偵察を繰り返し連打しているオロナインの姿が。
怖すぎる。
まじで怖すぎる。
■憎しみの連鎖
EVEに対する報復の狼煙をあげることには成功した。
しかし、不完全燃焼感は否めない。
ただ収穫もあった。
BraveYを偵察していたのだ。
なるほど、これくらいの戦力があるのか、これくらいの兵士を常備しているのかなど。
そんな感じで感想戦をしていたら、チャットで連絡がくる。
ナメクジ「陛下、ワールドチャットでEVEがなんか言ってきてます」
リネレボでは統制のために我はワールドチャットを見ないように勧めている。
ちなみにリネレボのワールドチャット、最後に見たのは恐らく2017年10月くらいだろうか。
そもそもゲーム内のワールドチャットという存在すら忘れていた。
ただリネレボとは違い、こちらでは結構自由にやりたかったので、特にワールドチャットは禁止もしていない、それは我にも当てはまる訳で。
とりあえずワールドチャットを覗いてみる。
3月11日、それは東日本大震災の日。
相手は中華連合。
このコメントを見て、サッカーの試合で頭の悪い外国サポーターがその事をネタにした横断幕を掲げて日本人選手やサポーターたちを侮辱していた事を思い出した。
我はこういう品性を疑うような煽りは大嫌いだ。
嫌いになると我は頭の中からそいつの存在自体が消える仕組みになっている。
腹を立てる時間も無駄だからだ。
やはり全世界の人たちが集まるグローバルゲーム、こういう問題も出てくるだろう。
ケンラウヘル「くだらん、さっさとブロックしてしまおう」
そう言ってブロックしかけた瞬間であった。
Kinta「いや、なんか様子が違いますよこれ」
Kintaのコメントで思い留まる我。
こんなクソくだらん人間と話す必要もないと思っていたのだが、ワールドチャットを下にスクロールしてみた。
ちなみにこのゲームは各国の言葉でチャットができるのだが、簡易ではあるものの、各発言ごとに翻訳ボタンがある。
彼がよくわからん言葉を放っているので一応翻訳をつけて覗いてみる。
簡単に要約するとだ。
震災の時に日本を助けてくれた人だということがわかった。
心が痛い。
心が汚れた卑屈な人間は我の方。
何かEVEに申し訳が立たない。
いや、いつも燃やされているのはこちらなので、燃やしたことに対する謝罪はする必要はないが、人間としてすまん。
もしも我があまり何も考えない人間だったのであれば脊髄反射で相手を罵る言葉をワールドチャットに書き込んだだろう。
だが我はそんなヘマをする人間ではない。
心では「震災の時に手助けてしてくれてありがとう」と感謝を述べつつ、EVEのほとんどがもぬけの殻であったというこの不完全燃焼で終わってしまった場をどうするかを決めなくてはならなかった。
どこかコロニーはないか、皆で燃やせるところはないか。
そう提案すると、チーム員の一人が手頃なコロニーの座標をチャットに書き込んだ。
ケンラウヘル「・・・おい、これ、コロニーのちょっと下に、EVEもいるな」
そこはまさにラッキーな場所であった。
あまり強くないチームのコロニーに加え、EVEが単体でバリアなしでいる。
ここまでいい条件はなかなかない。
今日はEVE燃やしに皆集まってくれた。
最後にこのEVEを燃やし、そしてコロニーを燃やして資源を搾取、これでいい締めになるではないか。
我は早速命令を打ち込んだ。
そう、この命令を
ワールドチャットに。
誤爆。
盛大なる誤爆。
さっき日本の事が好きだと言ってくれたEVEのワールドチャットのすぐ後にこの体たらく。
これは完全に煽り以外の何物でもない。
チームチャットも我の盛大なる誤爆に大混乱が生じる。
EVEの面々も怒っているだろう。
そう、これは怒っていい。
フォローだ、フォローしなくては。
我は1分考えた結果、ワールドチャットに以下の文字を打ち込んだ。
its joke.(それは冗談です。)
終わった。
見たくない。
ワールドチャットを見たくない。
今すぐこのワールドチャット切り替えボタンをUIから消し去りたい。
そして案の定、AKIGは(我のせいで)永久敵対と相成ったのは言うまでもない。
次回、報復と憎しみの連鎖、後半へ続く。
■今日の教訓
この事件により、我はワールドチャット禁止をモバロワでも禁止しようかと思った。
だが、このモバロワでは自由にやりたいというのが我の本望だ。
迷った挙句、我が考えた掟をさりげなく記載しておくことにした。
ご利用は、計画的に。
以上。