反王だもの。

MMOを中心としたゲーマー、反王ケンラウヘルの手記。

【リネレボ】要塞戦へ 後編

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前回の続き。

 

■開幕

ファーストコンタクトというのはいつでも緊張するものだ。

相手がどう出てくるのか、どうやってくるのかを正確に報告して対応するスピードが問われてくる。

人数がどこに偏っているかが分かるだけでも動きや戦術が水の如く変化自在に様相を変える。

 

我が担当するのは左サイド。

反王親衛隊では「L(エル)」という呼び名で通っている。

まずはL側から攻め兼偵察を行う。

だが我が軍の勢いを丸ごと飲み込むかのような相手の軍勢が目に飛び込んでくる。

 

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左サイドの特攻である。

数は大凡4PT以上はいるだろう。

しかもこのSSをしっかり見て欲しい。

全員が全員壁側を走り、意思疎通と連携の練度の高さが伺える。

 

「左特攻、防衛対応!」

 

即座に声を上げるものの、この人数は防衛だけでは何ともし難い。

少しでも時間を稼ぎ、その間に敵が手薄であろうバフを仲間に取ってもらうことを優先とした。

 

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多勢に無勢とはまさにこのこと。

如何せん止めようにも近付いただけで蒸発してしまう勢い。

 

アップデートにより強化されたはずの防御塔も穴が空いたグラスからワインが零れ落ちていくようにみるみるうちに減っていく。

 

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時間にして20秒、いや、15秒だろうか。

防御塔が無残にも散る。

疾風の如き矢の奇襲の勢いは留まるところを知らず、即座に2本の防御塔が塵と化す。

 

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開始から45秒。

たった45秒の出来事。

その間にバフを取ってもらいたいところであったが、少人数の敵精鋭にカットをし続けられてしまう。

 

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完全に一杯喰わされた我が軍。

しかもその後の対応も後手にならざるを得なかった。

防衛に人が回り過ぎ、バフへの人員をまんまと削られてしまう。

 

その間にも殺晩の特攻部隊は踵を翻し、バフの確保に人員を割く。

「防衛は大丈夫、持ち場へ」と伝えるもののなかなか上手く立ち回れない。

VCも若干の混乱を見せていた。

 

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掻き乱され散り散りになった血盟員をVCでまとめあげる司令官たち。

その声に呼応して防衛も適切な人数に変化していく。

その甲斐もあってか自バフを確保し、主力は敵バフへ妨害を行いに向かう。

 

先に一瞬刻印を許すもそれはまだいい。

だがバフが取れないのと開幕早々刻印される状態を作り上げてしまったことが厳しい。

しかも主力を投入したところでバフの確保ができない。

キル数は30ほど我が軍がリードせど、出端を挫かれた感は否めぬ。

 

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そうこうしているうちにバフを獲得されてしまう。

 

ケンラウヘルサーバー初日からのライバル血盟対決。

開幕は10:0で殺晩に軍配が上がる。

 

■表裏一体

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バフが両方とも埋まって時間を待たずして反王軍が右門の突破に成功。

 

バフが埋まっているということは試合が動くと同意儀。

即座に持ち場に戻って防衛の準備を始める。

 

しかし、なかなか相手がLに現れない。

と同時に刻印のカウントが進んだ。

味方による刻印だ。

そのままの勢いだけで来るような相手ではないのだ。

 

昔は殺晩のラバルルと言えば脳筋スペシンというのが当たり前だったのに、なかなかやりおる。

 

ちなみに脳筋スペシンと言っていたのは我ではないので、Twitterにクレームだけは勘弁して欲しい。

 

一方が攻撃をされ、一方が防衛に走る。

再びその均衡が逆転し、防衛に回り、攻撃される。

 

均衡の時間というのは指示がないことが多い。

そこで空いた隙間時間をいかに埋めるのか。

そして戦闘力が低いからといって活躍は不可能なのか。

 

否。

 

この時間こそ全キャラクターが活躍できる時間であり、絶好の機会に他ならぬ。

 

 

「L側最低人数で防衛、偵察に出る」

 

我は不気味な静けさを宿す左通路を一人で走り、敵防御塔まで突っ切る。 

 

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L側の監視も兼ねて少しでも敵L門を削る。

 

練度という言葉がある。

練度はコミュニケーションだけが練度とは言わない。

ましてや戦闘力だけというのも違うと思う。

理にかなった考えができることとも違う。

『行動』こそが練度に繋がるのだ。

 

隠居していたとはいえ、やはり要塞戦は頭で考える前に身体が勝手に動いていると言っても過言ではない。

 

そんなことよりブログを書いていて気付いたのだが、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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お前は一体誰だ。

 

■防衛の要

そこから1分もしないうちに、スルッと抜けた敵盟主が刻印を決めてくるも防衛隊で阻止。

そろそろ反撃が来ると直感した。

 

防衛ではなるべくラインを上げた位置に偵察を置くことも重要だ。

 

「防衛隊、多分そろそろ来る、迎撃準備」

 

我が声を上げたと同刻。

 

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そうはさせんと敵の刻印部隊が姿を現す。

我も即座に来た道を走り、味方と合流を急ぐ。

 

門前には既に防衛隊が待機していた。

これは我が声を出した後では到底間に合わぬ集合、つまり皆も予想して既に迎撃態勢を取っていたのである。

背中を頼れる味方がいるというのは実に勇気と自信を貰えるというものだ。

 

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相手の人数はせいぜい10名程度。

これは防衛隊で捌けると確信した。

 

恐らく相手はバフなのか、はたまた防衛に手を回しているのではないだろうかと予想する。

目をバフの残り時間に合わせる。

2バフ共に残り1分以上、バフではない。

では防衛に回っているのか。

逆に攻撃部隊は下がっているという声がVCから聞こえてくる。

敵もそこそこ人数いるにも関わらず、門までは近付いて来ない。

逆に防衛である味方の隊列が前に前にと吸い寄せられ、陣形が間延びしている。

 

確信する。

 

「L側敵第二波来るぞ、追わずに迎撃態勢維持!」

 

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しかし、時既に遅し。

恐らく7パーティ、いや下手をすると8パーティくらいはいるのではないかという敵増援が後ろから走り込んでくる。

津波に飲まれるかの如く跡形もなく消え去る味方たち。

 

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今までの要塞戦で体験したことのないような怒涛の攻めだ。

完全に均衡を崩される反王軍。

 

だがそこをしっかりと対応できるスキルを持っているのが反王軍の軍師、鍋蓋漢nanojigenだ。

即座に攻撃を中断し、まさに反王軍全勢力を侵攻してくる赤い塊へとぶつける。

 

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阿鼻叫喚の戦場、反王軍総出で門まで押し返すことに成功。

 

だが相手の狙いはそこではなかった。

 

「バフやばい、通路封鎖お願いします」

 

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バフ隊から声が上がる、即座に向かうとそこは先ほどの勢力が集結し、魚群に餌を与えたかのように跳梁跋扈していた。

何とかカットに回るものの、自バフだというのにカットも危うい状況だ。

 

しかし、こんな時でも冷静だったのは盟主、ここと

後手後手の戦場で自分の仕事をしっかりとこなし、仲間を信じて自らは前へ行き、刻印時間を伸ばしていく。

その差、18秒。

勝利を確信するには心許ない数字ではあるが、このリードと鍋蓋漢の

 

「リードしてるからしっかり、焦らず」

 

という言葉に皆の勢いが息を吹き返す。

 

■できることをするまで

この間、まだ5分しか試合は進んでいない。

一番熱い戦場はバフだ。

どちらも獲れぬ、撮らさぬの意地の張り合い。

 

我はL側のコントロールに集中していた。

 

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盟主が単独で来ようものなら容赦無くヴェンジェンスを当て、フロストアーマーで速度デバフを撒き散らし、そこに食らいついた防衛火力が敵盟主を叩き落とす。

 

押しつ押されつの一進一退。

ただしバフについては完敗だった。

相手は自バフを刻印せど、かたや我が軍はそこから一切自バフを刻印することができなかった。

しかし、短い時間なれど回数を重ねて敵聖物に刻印を重ねていくここと。

その刻印秒数差は40秒にまで広がる。

 

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L側は壮絶なぶつかり合いが何度もあるが、そこを上手く迎撃して敵盟主の侵入を防いでいた。

 

息をつけぬ程の試合展開。

ワンミスが命取りになるようなヒリヒリした戦い。

この麻薬的な中毒感が脳内のアドレナリン分泌を活性化させる。

これほど胸が熱くなることもない。

iPadを握る手に汗が滲む。

 

■総攻撃vs総迎撃

試合が動いたのは開始10分した頃。

こことが落ち、こちらの攻撃の手が休まった瞬間だった。

 

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再び恐ろしい赤い波が突如押し寄せてきた。

 

「L敵総攻撃開始、緊急!」

 

即座にアラートをマイク越しに流す。

 

「全員迎撃態勢!」

「戻れ戻れ!」

「ここ乗り越えるぞー!」

 

この戦場だけで何度も山場を迎えていたと思っていたが、さらに高い頂は雷の如く唐突に現れる。

 

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恐らく互いのほぼ総戦力が自陣営に集結し、火花を激しく飛ばす。

盟主位置を報告する者、行ける行けると励ます者、ただひたすらに我も小さいながら刃を奮う。

 

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こうなると勝っているのか負けているのかはほぼ感覚値だけ、勘と経験だけで判断するしかない。

 

敵の攻撃も止み、しっかりと防衛を完遂する。

しかし安堵のため息をつく間も無く、再びバフのイニシアチブを握られてしまう。

 

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残り15分強。

とうとうこの試合初の2バフを明け渡してしまった。

頼みの綱は盟主による細かい刻印秒数刻みによる差。

だが20秒刻印されてしまっては意味がない。

 

「2バフ獲られた!ここ集中!」

「相手くるよ、しっかり防衛ね!」

 

流石我が軍、基、我と時間を共にした仲間たち。

こういう時こそ前向きに考えて最善の策を練り、それを全員に周知する。

我が昔「VCでもバフはかかる」と言ったことをしっかりと守ってくれている。

こいつらに勝たせてやりたい。

 

「相手は固まってくるぞ、うちらなら迎撃できるぞ」

 

戦闘力には反映されないバフをかけ続ける。

 

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2バフを獲られた後は防戦一方だった。

だが最初のような後手に回った戦い方ではない。

剣道の用語でいう「後の先」

相手の動きを読み、先に動かせて後から対応するという意。

押されているとういう気持ちよりも、まさに「迎撃している」という方が正しい。

 

前向きな防衛に空気が切り替わる。

 

だが相手もここぞとばかりに襲いかかってくる。

 

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それは何度も形を変え。

 

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刻には緩急を付けた流れを作る。

 

 

 

 

 

 

ケンラウヘルサーバーができた時、すなわちリネレボがサービス開始した日、同日生まれた2つの血盟。

反王親衛隊殺戮と晩餐の会

この数奇な2つの血盟。

偶然同じサーバーだったというだけで、時には協力し合い、時にはこのように刃を交え続けてきた。

 

血盟の中身の人間も互いに大分入れ替わった。

もう既に知っている人間の方が少ないだろう。

ただいつまでも変わらぬのは、殺晩のメンバー、いや、

こいつらとやるのが楽しいという事実だけだ。

 

■決着

そこからはバフを獲った獲られたなどは些細な事と化した。

 

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門を折り合い。

 

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全力でぶつかり。

 

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様々な戦術を駆使し。

 

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ただひたすらに互いの刃を奮い続ける。

 

意地と意地のぶつかり合い。

どちらが優れているかなんてそんなのはどうでもいい。

ただこいつらとこんな風に全力で楽しみたい。

 

 

 

気付けば緊張ではなく、笑みさえ溢れていた。

 

やっぱりリネレボってこうだよなと噛み締めていた。

 

最後は相手のリスキル攻撃などもあったが、秒数を序盤から終盤に伸ばし続けていた反王軍が優位であった。

相変わらずバフは獲られっぱなしではあった、そこは殺晩に見事負けたが、この1つになった想いは負けてはいない。

 

最後の方は皆熱くなりすぎて何を言っているのかわからぬVCであった。

否、我も戦術らしき戦術や指示は飛ばしていない。

 

励まし、褒め合い、勇気づけ、興奮が渦巻くVC。

 

全てがバフになって全員にかかり続ける。

 

戦いは最後までもつれ込んだ。

いや、この戦場にいた誰しもが途中での決着を望んでいなかったろう。

最後まで、フルに戦えるシステムの限界まで戦いたいと願っていた。

 

 

 

 

そして刻は残り僅か。

 

最後の3分の攻撃は痺れるものがあった。

 

だがそこを耐え、戦い、楽しんだ。

 

そして30分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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反王親衛隊と殺戮の晩餐の会、ライバル対決、互いを1500キル以上しながらの壮絶な接戦を制す。

 

この場を借りて、殺晩のメンバー全員に感謝と敬意を。

 

■総括

熱かった。

楽しかった。

ただひたすらそれだけだ。

 

もう最高だった。

VCも終わった瞬間に誰しもが歓喜の雄叫びを上げていた。

 

戦闘力が追いつかずとも、隠居してINもままならない我ですら、ここまで熱くなれる。

 

もう既に書きたい事、思ったことは既にこの文章に書き尽くした。

まとめる必要もないくらい。

 

 

我が云う立場ではないかもしれないが、もしこのブログを見て少しでも共感した、既にリネレボを離れてしまった者たちへ。

 

また少し、INしてみるのも楽しいかもしれぬ。

 

貴殿らの物語に再び熱き魂が蘇らんことを祈って、今回のブログを締めさせてもらう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■今日のド忘れ

我が軍では戦闘に勝利した後、敵味方入り乱れて集合している際に「鬨の声」を上げてからマグナティンへ飛ぶと云う儀式がある。

「その血に誇りを」

の合図から

「祖国に光を」

と皆で勝鬨を上げてから颯爽とドラゴンでマグナティンへ向かうと云うものだ。

 

既に我は盟主ではない。

故に、盟主であるnanojigenが執り仕切る事になっている。

勝利の興奮冷めやらぬnanoも、ここはしっかりと決めると息巻いてチャットを打ち出す。

 

「じゃあ皆、行くよー!鬨の声準備!」

 

皆が息を潜めてチャットに集中する。

 

チャット欄に映る「その血に誇りを」を皮切りに、「祖国に光を」のチャットが埋め尽くされ、そしてドラゴンが宙へ舞っていく。

自分で提案しておきながら、やはり久々に見るのは壮大な光景だ。

以前であれば我のフレーズだった「その血に誇りを」だが、今は当然「祖国に光を」と打ち込んだ。

 

こう云う一体感、ロールプレイ、そう云う物はいつまで経っても胸を踊らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ一つ、今だから皆に謝っておかねばならない。

我は空気を壊したくなかった。

だから言わなかった。

そう、たった一つの凡ミス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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マグナティンへの行き方を忘れてしまい、取り残されたと云う事を。

 

以上。

反王親衛隊・新鋭隊の掟については<こちら>を参照の事。

プライバシーポリシーについては<こちら>を参照の事。