反王だもの。

MMOを中心としたゲーマー、反王ケンラウヘルの手記。

【日常】お見舞いと生ハム

 

総員、我が名はケンラウヘル。すなわち反王である。

 

今日は本当に日常の話を。

先に言う。

ガチの完全な日記である。

 

■あるツイッターにて

 

いつものように電車で何気なく自分のTwitterを覗いていたところ。とあるツイートがタイムラインに流れてきた。

 

 

これに気が付いたのはこのツイートが発せられた翌日くらいだろうか。

誰かがリプライしているものが我のタイムラインに載ったことで発覚した。

ただ、この時は入院とはいえこうやってTwitterできるのであるから、あまり重く考えてはいなかったのだが。

rysterといえば元REVO、The Avengers、そして現Vertexと、日本リネレボ界きっての超上位血盟の代表格である。

彼と最後に会ったのは3月末。

我が軍の花見の日の夜に渋谷で飲み会をしているということから呼んでもらったのだ。

その時は大人数だったのと、要塞戦やリネレボ攻略について熱く語っていたことから全く話せていなかったのだが、とてもではないが体調が悪そうな雰囲気は一切なかった。

むしろゲームに対して熱く語っている姿は病気とは真反対に位置する存在そのもので会った。

 

そしてある日、とある者からLINEで連絡が来る。

 

「rysterさんのお見舞いに一緒に行きませんか?」

 

そう声をかけてくれたのは、既にリネレボは引退してしまっているが、

 

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あの伝説のツクヨミ(元ギルガメッシュ)である。

彼とはリネレボ引退後も非常に仲良くさせてもらっている。

むしろ色々とお世話になっているので、正直この文体、この書き方で失礼じゃあないのかが不安で指が震えているのは秘密だ。

 

お見舞いに行くのは、4月27日(土)の午後と決定した。

 

■お見舞いの品

 

4月27日、午後13時、病院近くの駅に到着。

よくよく考えるとお見舞いというのはあまり経験がない。

最近で言えば、といっても約8年前の話だが、叔父のお見舞いに行ったくらいだろうか。

 

叔父は剣道をやっており、我が幼少の頃から非常に厳しく怖い人間で会った。

だが思いやりがあり、筋や義理を重んじ、真っ直ぐで心の曇り一つない人だ。

我は幼少の頃から尊敬しており、叔父の影響で学生時代は剣道に明け暮れていた。

歳を取って身体が弱ってもその生き方や考え方は変わっていない。

そんな叔父が倒れたのは2011年。

緊急手術で一命を取り留めたものの、長期入院を余儀なくされていた。

その時はちょうど仕事が忙しくて行けなかったのだが、落ち着いたら行こうと決めていた。

お見舞いには何を持って行けばいいか、花なのか何なのか、決めあぐねていた我は叔父に電話することにした。

電話越しの叔父の声は年相応の、だが元気な声であった。

「何か欲しいものはあるか?」と尋ねたところ、叔父は一言「うまいコーヒーを飲みたい」と伝えてきた。

我は喫茶店巡りが好きなのでコーヒーの種類は結構知っていた。

勿論豆で持って行ってその場で挽くのが一番なのだがそうもいかぬ。

病人にそんなことはさせられない。

既に挽いてある、フィルター付きのコーヒーが良いと自分の中で考えて持って行った。

正直病人にコーヒーというのがいいのかどうか分からないが、なぜか我の中では「お見舞い=コーヒー」と相場が決まっていた。

 

今回のお土産は、近くの上島珈琲店でフィルター付きの、コップの上に置いてあとはお湯を注ぐだけという手軽なセットにした。

ちなみに上島珈琲店では絶対的にエチオピアコーヒーがオススメなので、もし今度行く機会がある者は是非。

 

■待ち合わせ

 

午後13時50分、病院へ到着。

その病院は大学病院で、その敷地も非常に大きい。

何棟かに分かれており、その中央に位置する棟の1階へ向かう。

しかし、病院というのは慣れないものだ。

場所や雰囲気ではない。

あの独特の、病院の匂いというのが苦手なのだ。

視覚や聴覚よりも、嗅覚というのは非常に強く心に刻まれるものではないだろうか。

臭いから記憶を呼び醒まし、情景やその時にあった出来事、その時の音などが脳内で再構築される。

しかも一瞬でだ。

まるで複雑なパズルが突然ピタリと全て当てはまるような、逆にスッキリして気持ちよさすら感じる、という体験はないだろうか。

まぁそれがスッキリなのか嫌な思い出なのかは人それぞれだと思うが。

ちなみにあの病院独特の匂いの正体は次亜塩素酸ナトリウムという消毒液。

殺菌性が高く、器具などをそれで拭いて殺菌しているのだ。

エアコンなどで散布しているわけではない。

だが器具を拭いているうちにその匂いが定着し、いわゆる病院の匂いとなっている。

我が向かったのは敷地内の中央に位置する棟。コーヒーを入れた手提げ袋を片手に1階の待合室へ向かう。受付のロビーの前には椅子が壁沿いに4列くらいで並んでおり、その中にツクヨミは座っていた。


「反王様、お疲れ様です!」


と手を振りながら我に声をかけるツクヨミ。「久しぶり」と我も言葉を返す。

だがこの時点でおかしかったのは、ツクヨミの上着が黒いTシャツ一枚だけであったこと。

この日の東京の気温は最高気温で13度。

天気も悪く、ちょうど病院に着いたくらいから小雨が降っていたのにも関わらず、Tシャツ1枚なのだ。

周りにはジャケットや上着のようなものは一切ない。


「・・・半袖?」

「これくらいだったら余裕ですよ、余裕!んじゃ行きましょー!」

 

いやいや、この気温で半袖でいたら逆に病院行きなるのではないかと心配していたが、無邪気な子供を連想させるような立ち振る舞いは初めて会った昨年の1月と何ら変わりない。

逆にこうしてリネレボを辞めた今でも変わらず一緒に話したり笑ったりしてくれるツクヨミには、会うだけでこちらも元気を貰えるというものだ。

 

■患者のryster

 

病院のエレベーターで高層階へ行き、ツクヨミと二人でrysterの病室へ足を運ぶ。

ツクヨミの見舞いの品は何かアニメのDVDBOXであった。

これは余談だが、見舞いに行く前に彼は見舞いの品として、ここでは書けないような邪な本やDVDやアイテムを病室に隠しきれないくらい大量に持っていく予定だったのだが、途中でやめたらしいとだけ補足していく。

それを病室に運んで困り果てるrysterの顔を見れなかったのがちょっと残念なのは心に秘めておこう。

 

長い廊下を並んで歩いている最中、病室の前の、廊下にある洗面台にてばったりとrysterに遭遇した。

ただ我はその時、rysterに出くわした際、実は本人と分からなかった。

もともと彼は細いのだが、その細さに拍車がかかり、頬はこけ、顎のラインはまるで少女漫画に出てくるような鋭角な輪郭になっていた。

 

「おっ、病人がいるぞー!」

 

冷やかすような声でrysterに声をかけるツクヨミ。

その声に反応して笑いながら挨拶をしてくるryster。

確かに細くなったものの、元気そうではあった。

 

「ギルさん、反王様、ありがとうございますー!」

 

屈託のない笑顔で迎えてくれて一安心。

 

ちなみに皆が知っているrysterは恐らく

 

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こういう感じだろうが、病院にいたrysterが、

 

 

 

 

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一瞬ファミコン芸人のフジタに見えたのは秘密だ。

 

■病状について

 

プレゼントを手渡し、そのまま同じ階にあるロビーの椅子に腰掛けて病気についての話を聞いた。長くなってしまうので要約して話す。

 

まずは病気について。

病名は絞扼性イレウス。

これはTwitterにも書いてあったのだが、正直、我の第一印象は、

 

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モンハンのボスみたいな名前だなというクズみたいな発想であった。

 

ただ、この病気の話を聞いたら笑えなくなってきた。

 

絞扼性イレウスというのは、簡単に言うと腸の一部が締め付けられて壊死するという病気。

縫合などで癒着した部分の隙間に腸が入り込み、そこが首を絞められたような状態となって壊死していくといったもの。

聞いているだけでも背筋が凍る。

 

我も一昨年胆嚢炎になったのだが、医者の話によると「炎症(胆嚢炎)」と「壊死」では痛さが比ではないとのこと。

胆嚢炎だけでも地獄の痛みだったのにも関わらず、その比較にもならない痛みを味わったら、間違いなく死ねる自信がある。

ちなみにこの壊死が心筋で起こったのがいわゆる心筋梗塞とのこと。

身近に、しかも若い年齢の人がなると恐怖は倍増だ。

医者の言うところ、絞扼性イレウスになってから8時間以上経過すると死亡率がぐんと上がるということ。

笑えない話である。

しかし一番厄介なのは再発性。

明確な再発防止策というのはなく、再発するのは運であり、再発の可能性は極めて高いとのこと。

何なら1週間後に再び起こる可能性も無きにしも非ず。

「腹に爆弾ガチャを抱えてしまった」という自虐ネタで笑っていたが、

 

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我は終始真顔であった。

 

ちなみにrysterの彼女さんのファインプレイによって命を取り留めたところもあったらしい。

ずっと彼女に対する感謝の念を喋っていた。

 

まあともあれ、元気だったということ、そして「これブログに書いちゃっていいすよw」というrysterの粋な計らいからブログとして書かせてもらっている。

 

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ともあれ、元気そうでなによりだ。

 

■日本一美味い生ハム

 

rysterとは1時間くらい話しただろうか。

彼を拘束し過ぎるのも身体に悪い。

我とツクヨミはrysterの元気な姿を見れたことに満足し、その場を跡にした。

 

「反王様、この後時間あります?お腹空いてません?」

 

というツクヨミの言葉に甘えてタクシーに乗り込む。

一旦タクシーにてツクヨミの家へ行くことになった。

ツクヨミの家は何度か遊びに行かせてもらっているが、詳細は控える。

まあ6メートルの水槽が家の中にあるのを見て異世界感が凄いとだけ言っておく。

家にある立体駐車場から出てきたのは、

 

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真っ白なカイエン。

あまり車に詳しいわけではないが、カイエンと言ったら、

 

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某野球選手が欲しがっていた高級車というイメージしかない。

 

品のいい、赤と朱色の中間色でまとめられた内装はより高級車感が凄い。

この車とオーダーメイドでいくらかかったのだろうという疑問よりも、ここに我が座っていいものかという疑問が浮かんだのは間違いない。

 

日本一美味しい生ハム屋があるから食べに行こう、今日の午後はそういうプランになっていた。

 

生ハムと言ったら何を想像するだろうか。

我としては

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メロンに巻いて食べる焼いていないベーコンという認識くらいしかなかった。

そもそも生ハムをメインで考えたことなんてないわけで。

だがあのツクヨミが日本一美味いと絶賛している店だ。

まず味は間違いないだろう。

そして値段も間違いない(確信)

 

高速道路でカイエンを飛ばして西へ30分。

インターチェンジを降りてからとても狭い路地の住宅街に入っていく。

我の勝手なイメージでは、美味い店=高級な場所という想像をしていた。

だが、お世辞にも高級とは言えない、のどかな住宅街へグングンと進んでいく。

高速を降りて20分くらいだろうか。

住宅街の中、マンションの1階にある、アメリカンテイストな店の目の前に車を停めた。

人気のない住宅街のど真ん中、ひっそりとしているこんな場所に美味しい生ハムなんて売っているのだろうか。

というか、そもそも生ハムが美味しいってどういうことだろうか。

色々な疑問を持ちながら店内へ。

 

■生ハムの知識

 

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我の中では生ハムというものは一種類しかないと思っていた。

いわゆるボンレスハム的な。

それを何らかの方法で生?で食す?というか、生ハムって何。というくらいの知識しかない。

 

というか、また我の悪い癖で話が長くなってしまった。

割愛して書こう。

ここからは完全にただの食レポになる。

 

店内は閑散とした住宅街とは違い、常連と思われる客が狭い店内で5名ほどいた。

人気店、いや、知る人ぞ知る店といった感じというのが正解か。

生ハムにも色々な種類がある。

ちなみに、100gで7000円というぶっ飛んだ生ハムもある。

しかしツクヨミは何ら躊躇なく、その生ハムを含め、様々な生ハムを注文していく。

持ち帰り用と、その場で食す用だ。

この店は隣が小さなレストランになっており、ここで買った商品をレストランでそのまま食べることもできるようになっているのだ。

ツクヨミも慣れているようで、店長と生ハムの専門用語が入り混じった会話をしながら、我は待っているだけしかできなかった。

ただ理解できたのは、ハムの名前とグラム数から計算し、

 

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諭吉改め渋沢が何人くらい飛ぶのかというくらい。

 

一通り注文し終わった後、レストランへ。

四人がけのL字のテーブルと四人がけのカウンターという、とても小さな場所だ。

そこで生ハムをスライスしてもらう間、飲み物を頼む。

 

ツクヨミ曰く「ここで出すオレンジジュースが最強に美味い」ということで、我もそれを頼んだ。

 

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この店はイタリアの商品を扱っており、生ハムもそうだが、ジュースもイタリアから仕入れているとのこと。

オレンジジュースはシチリア産のブラッドオレンジュース。

 

これがびっくりするくらい美味しい。

 

まさに搾りたて、果実を感じるか感じないかといった絶妙な食感、甘さと酸味両方を兼ね備えた理想のブラッドオレンジジュース。

ちなみにあまりの感動で色々と聞いたのだが、絞ってからすぐに紙パックに入れ、その紙パックごと凍らせることでこのフレッシュさと食感が出せているとのこと。

オレンジュースと侮るなかれ、恐るべし。

 

そして次に出てきたのはお待ちかねの生ハムだ。

まず写真を見てもらいたい。

美味そうとかそういう問題の前に

 

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まず量がおかしい。

というか、1枚1枚が高いのはわかるのだが、これが

 

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3皿大盛りで来たら怖くなってくる。

 

生ハムをメインとして食すのは初めての体験だ。

果たして何が普通のものと違うのか、そもそも生ハムの味など「その塩気と食感で他の食材を引き立てる役目」としてしか考えたことがないわけで。

 

 

結論から言おう。

 

 

やばい。

これは我の知っている生ハムの世界線から逸脱している。

 

最高級の肉と刺身を食っているような、完全に新しい食べ物だ。

口の中で生ハムがとろけていくとは思ってもみなかった。

よくしゃぶしゃぶとかの肉で「口の中で溶ける」という表現を使うと思うが、それともまた違う。

恐らくこれは切り方にも秘密があると思う。

まるでふぐ刺しのような極薄の切り方なのだ。

ハムを上から見ると、木皿の木目がしっかりと見れるくらいの薄さ。

食感を噛みしめる前に、舌に乗せた瞬間に味わいだけが口に広がり、文字の通りそのまま消えていく。

最後には程よい塩味と濃厚な肉の味が残るだけ。

むしろこんなのメロンに巻いたら罰が当たる。

これは単品だけでもメインをはれる、まさに最高の生ハムであった。

 

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生ハムは大体4〜5種類だったろうか。

名前とか詳しく聞いておけばよかった。

比較的庶民的な味わいに近いハムもあれば、コンビーフのように濃厚なもの、塩味よりも肉の味が前面に出てくるものなど。

我の中で生ハムの存在意義が変わった。

 

まぁ会計も世界が違ったが。

 

とにかく、最高の生ハムというのを経験させてもらって、大満足という言葉では足りないくらい、良い休日であった。

この場を借りてツクヨミに感謝と敬意を。

 

色々な体験というのは人生を豊かにすると言ったもので、普段の生活ルーチンで味気ない日々を過ごしている人が多い中、こういう場面や発見に出会える我は本当に周りに恵まれていると思う。

こういう話をツクヨミと帰り道しながら、今度は何か新しいことをしよう、これはどうか、あれはどうかと、好奇心に満ち溢れた会話をしていた。

ちなみに次回ツクヨミとやることは決まったが、それはまた、後日書くとしよう。

 

■今日の小話

 

どうでもいい話だが、2011年、叔父が入院した時にコーヒーを買っていったのだが、実はその時にもう一つ忘れられない出来事があった。

 

身体が少し弱っていても厳格な叔父。

むしろその姿を見たら元気以外の何者でもないのだが。

病室は6個のベッドが1つの部屋でカーテンで区切られているような、いわゆる大部屋だ。

入って左右の壁に3つずつのベッドがある。

右側の真ん中が叔父のベッドだ。

我がコーヒーを持って初めてお見舞いに行った時、叔父のベッドはカーテンが開いており、その隣奥、窓際のベッドもカーテンが開いていた。

ベッドに近づくと、真ん中のベッドに座って窓際を向いている叔父。

そしてその窓際のベッドにも同様、叔父の方を向いて座っている大柄の男。

 

「最近の若い人はだな、礼儀がなってないんだよ、わかるかい?」

 

などという話をしており、明らかに窓際の方の大柄な男が愛想笑いを浮かべている。

完全説教モードだ。

叔母からお見舞いに行く前、隣の人と仲良くなったらしく一日中話をしているとは聞いていたのだが。

まさかこの説教じみた話を一日中しているのかと同情しかない。

 

「おお、来たか、ありがとうな」

 

と叔父が我の方に向かって話をする。

話好きな叔父の目は口を開く前に「お前も座って話を聞きなさい」と言っているようだった。

 

「紹介するよ、この人は中西さんだ、中西さん、これがうちの甥っ子です」

 

と勝手に話を進める叔父。中西さんは困ったように眉をひそめながら、我に挨拶してくる。

 

「どうも、叔父さんにはいつもお世話になっております」

 

参ったなートホホ、とでも言いたいような顔をしながら笑っている中西さん。

首にはコルセット太いギブスが巻かれており、流石に首を傾げる仕草はなかったが。

叔父の話の長さや面倒臭さは我も重々承知している。

また叔父に悪気は一切ないのが逆にタチが悪い。

中西さんの置かれている状況や様子、そして一日中否が応でもベッドが隣であることを考えると、心が痛くなってきた。

 

「ほら、そこに座りなさい」

 

叔父が立っている我に座るように促す。

促すのはいいのだが、促した先がまさかの中西さんの隣、つまり中西さんのベッドに座れと言い始めたのだ。

 

「いや、叔父さん、それはちょっと流石に」とまだ話し終える前に「いいから座りなさい、中西さん、ちょっと横開けて」と勝手に仕切り始める叔父。

大柄の中西さんがスッと横を空けてくれる。

我も渋々横に座る。

30分で帰る予定であったが、これは相当長くなるなと覚悟した。

 

「中西さん、毎日こうなのだろうか」

「はい、いや楽しいんですが、毎日というか、起きてる間はずっとですね」

 

やれ俺が若い頃はなんだの、礼儀だのと叔父が上機嫌に話している合間を縫ってひそひそ声で中西さんと話す。

これが起きている間ずっとだと思うだけで病気が悪化しそうだ。

中西さんも大柄だが、我もかなり大柄、その大男2名がベッドで隣り合わせで座り、目の前の老人から説教を食らっている。

滑稽な状況だ。

 

しかし、ある事に薄っすら気付き始めた我は、徐々に叔父の説教が頭に入らなくなってくる。

 

説教開始から1時間ほど経ってからだろうか。

 

我は中西さんに思わず問いかけてみる。

 

 

 

 

 

 

「つかぬことを…もしかして中西って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「プロレスラーの中西学??」

 

「…はい」

 

※中西学:プロレスラー、野人の異名を持つ新日本プロレス所属の選手

 

 

 

 

 

思いっきり吹いた。

プロレスファンの我からして、まさか叔父から説教を受けているのが中西学だとは思いもよらなかった。

大ファンなのに何故気付かなかったのか。

そういえば首を試合で怪我したという話を聞いていたが、まさかここに入院しているとは思いもしないわけで。

もうめちゃくちゃ話したい衝動に駆られ、叔父に話す。

 

「叔父さん、この人、プロレスラー、超有名人!!」

 

ミーハー魂に火がついた我、興奮気味に叔父に説明する。が。

 

「プロレスラーなのか、プロレスと言ったら懐かしいな、あれはまだ若い頃にな」

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

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その後、中西学と二人で2時間、叔父の説教を受け続けたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一体我は何を書いているのだろうか

まぁでも、そんな日があってもいいか。

次回はリネレボの要塞戦について書こう。

 

以上。

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