反王だもの。

MMOを中心としたゲーマー、反王ケンラウヘルの手記。

落札と要塞戦

総員、我が名はケンラウヘル。すなわち反王である。

 

本来であれば、29日の落札の日に更新するべきではあったが、不足した情報を収集していたことに加え、我が軍への情報共有などで追われてしまって手が回らなかった。

そのため本日、29日の落札、30日の要塞戦について、我が軍の奮闘をここに記す。

 

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29日。

来る落札の日だ。

要塞戦の情報は韓国での情報、および攻略サイトなどでの収集はある程度容易ではあったのだが、落札についての情報があまりにも不足していた。

そのため、我が軍はまず、

リアルの仕事を早く終わらせることを第一優先として動いた。

16時に全ての仕事を片付け、早々に切り上げる。

落札は秒単位で物事を判断しなくてはならない。

周りの環境も非常に重要だ。邪魔が入ってはならぬ。

故に我が真っ先に向かったのは、行き付けのBAR。

そこは少し変わった事情により、まず客がいないといっても過言ではない。

店内は非常に広い。

ジャズの音楽が鳴る中、中央席のソファーに座る。

 

バーテン:いらっしゃいませ。

ケンラウヘル:ロックで。

 

ここに来ると注文はほぼ決まっている。

そしておもむろにiPhone7を取り出し、イヤホンを出す。

やはりiPhone7Plusにするべきだった。

悪くはないがやはり画面は大きい方がいい。

そしてiPhone7はイヤホンジャックがない。

全てLightningケーブルとなっている故、大抵の者はBluetoothのイヤホンを買っているのだろう。

音楽を聞くのはいいかもしれないが、我はBluetoothをそこまで信用していない。

会話の途中に途切れ途切れになることもあるからだ。

よって我はこれを使っている。

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これを付ければ充電と会話を同時にすることができるのだ。

今では我の必需品となっている。

 

バーテン:お待たせいたしました。ウーロン茶です。

ケンラウヘル:うむ。

 

この店は我の頼むウーロン茶でもっているようなものだ。

まずはログインし、我が左腕のシゲルマツザキに連絡をする。

落札締め切りは21時。

そして現在18時。

が、1点だけ問題があった。

それは電源がないことだった。

ソファーにあると思っていた電源が故障していたようだった。

 

ケンラウヘル:この電源は使えないのか?

バーテン:はい、申し訳ありません。

ケンラウヘル:ふむ・・・

バーテン:ですが、カウンターに電源がございます。

ケンラウヘル:しかし長さが足りぬのでは?

 

このBARは本当に特殊で、カウンター席もない。

しかもカウンター権キッチン兼レジみたいな場所、バーテンが調理をする場所の奥の方に電源があるため、カウンターに椅子を持ってきても届かない。

しかしここはできた店員だ。

 

バーテン:どうぞこちらへ。

 

まさかのカウンター内に招かれる。

行き付けが功を奏したか。

広さで言えば、学校の教室3つ分くらいの広さの店内で、男が二人、小さいカウンターの中に詰まっているこの状況。

しかも途中途中でバーテンが外出する。

もし客が来たら我が接客しなくてはいけないのだろうか。

さて、そんな状況の最中、ケンラウヘル鯖の落札はほぼ予想通りの展開となった。

郡を抜いた上位陣がディオン、そして上位チーム+αが話せる島とグルーディオ。

落札が大きく動いたのは20:30。

続々と落札が始まる。

ここまでは完全に予想通りだった。

試しに我も落札を開始する。

落札ボタンを押すとほぼリアルタイムで更新される。

また、落札している要塞に他の血盟が落札するとアナウンスが流れるから分かりやすい。

ひたすら更新ボタンの連打。

恐らくギリギリになってからが勝負だ。

そして20:58、落札ギリギリになって事態は動く。

徐々に高騰する落札価格。延長されていく時間。

残り10秒のときに新たな落札があったりしたが、結果としては12mで要塞戦出場権を獲得することができた。

あと、他に客が来なくて助かった。

 

相手の情報を集めつつ、血盟員に情報を共有する。

細かいことからしっかりと共有しなくてはならない。

電源確保できる場所、通信量は月末だが大丈夫か?などだ。

しかし、その心配は必要なかったようだ。

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準備は万全のようだ。

 

30日。当日。

その日は朝から初陣に向け最終調整。

復活用の赤ダイヤも確保した。

そして18時。

またもや昨日と同じBARに向かう。

 

バーテン:いらっしゃいませ。

ケンラウヘル:このカウンター前に椅子を置いていいか?

バーテン:それだと電源が届きませんよ?

ケンラウヘル:問題ない。

 

「延長コード」の画像検索結果

ケンラウヘル:延長コードを持ってきた。

 

時間が経つにつれ心配だったのが人数が集まるか否かだった。

しかし、20:45には我が軍主要メンバー、そして昨日まで来れるかどうか分からないと言っていたメンバーも集まってくれた。

血盟強化効果を使用する時間、晩餐を使用する時間、高級ポーションのセッティング、ソウルショットの有効化などを事細かに確認。

しかし、最後の最後で問題が生じた。

我が右腕のケレニスの様子がおかしい。

いつもだったら即反応してくれるにも関わらず、PTを組むところからうまく連携が取れない有様。

刻々と迫る時間。

要塞戦は連携が命だ。

ケレニスは重要なヒーラーであったが、直前で作戦変更。

ケレニスを我がPTから外し、PTを組み替える。

そしてとうとう要塞戦が始まったのだ。

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我が軍は落札が1アデナ差で2位落札。

どちら側に入るのかと考えていたが、やはり攻撃側っぽい、左側に陣取ることになった。

人数では敵血盟を上回っている。

しかし怖かったのは一点突破で抜かれてしまうこと。

様々なことを考えつつもまずは祭壇の確保に向かう。

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祭壇を確保すると右にメニューが現れる。

効果は3分。

片方確保で攻撃力10%、両方で30%増加となる。

セオリー通り回復の泉を中心に抑えつつ、一斉に門防御塔を狙う。

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防御塔の攻撃力は尋常ではないと聞いていた。

しかし、どのくらいのダメージかは明確には分からなかった。

大量で突撃した結果、ほとんどが即蒸発。

我も防御塔の攻撃を食らい、1秒に2万くらいか?耐えるのは困難だった。

即座に全員に防御塔についてはヒットアンドアウェイを指示。

また、防御塔の「どちらを狙うのか」を明確に指示。

3回ほどこれを繰り返し、相手の南門を突破することに成功。

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そして敵聖物めがけて侵攻開始。

聖物の隣にも防御塔があり、しかも相手のリスポン地点から近いため敵の攻撃も相まってどんどんと蒸発する血盟員。

そして明らかに我へのマークが一層厳しくなる。

我がいないと聖物の刻印ができぬ故、死なないことを最優先に動く。

単独では無理であるため、一旦集合、攻撃、撤退、集合を繰り返し、徐々に相手防御塔を削っていく。

刻印の時間が迫ってきた。

総員に前線を押し上げるよう指示する我。

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押し過ぎて敵を通り越してしまった血盟員を呼び戻す我。

刻印時は一切の動作ができない。

そのため守ってもらう以外の方法がない。

攻撃を食らったらキャンセルされると思っていたのだが、攻撃されても刻印は実行される。

が、気絶や転倒を食らうと強制的にキャンセル、刻印はリセットされてしまう。

撤退と突撃を何度か繰り返した後・・・

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初の要塞戦を制する。

思わずリアルで声を上げた瞬間のバーテンの「ビクッ」は忘れられない。

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皆から守ってもらったこともあり、1度も倒れることなく刻印という大仕事を全うすることができた。

 

勝てた。

模擬戦で全戦全敗だった我が軍が、初の要塞戦を制することができた。

しかし、何よりよかったのが今回巡り合わせで敵となった血盟のエース。

勝利を称えてくれたのだ。

お互い落札の時から24時間、それは意識し合ったことだろう。

相手の血盟とも一切コンタクトを取らず、ひたすら作戦を練った。

相手エースの攻撃力は破壊的で脅威、うちもずっとマークし続けていた。

彼が画面に現れるたびに最優先でBOXを行った。

敵対関係にありながら、最後は勝利を称えてくれたのだ。

やはりオンラインゲームとはいえ、こういうのがたまらない。

相手の血盟には敬意を払いたい。

正直、我が軍が勝てたのは人数差が大きい。

偶然人の集まりが良かった、ただそれだけなのだ。

奢ることなく、反省をし、次の戦に活かさなくてはならない。

血盟員、そして対戦した血盟、応援してくれた者全てに感謝する。

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色々書きたいことはある。

占領ショップについてなどなど。

しかしこれはまたいつか、書く機会があったらにしよう。

次に向けて準備を進める。

 

 

 

■今日の副血盟主

 

さて、我が右腕、副血盟主ケレニスについてだが、この反王親衛隊を一緒に作った仲間だ。

ケレニスのリアル職業はシェフだ。

リネレボが事前登録を開始した際、我はケレニスがシェフをやっている店に赴き、一緒に話した末、この「ケンラウヘル」と「ケレニス」の名を事前登録した。

そんな奴がなぜ、この重要な戦いの時に連携が突然取れなくなったのか。

これだけが要塞戦で腑に落ちない部分だった。

要塞戦が終わってしばらくした後、ケレニスからLINEが届く。

 

 

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今後、我が軍ではパスタを作りながら要塞戦に出ることを禁ずる。

 

以上。

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